肝炎ウイルスマーカー

@A型肝炎ウイルス(HAV)の検査

A型肝炎は、はしかのように一度罹れば抗体ができ、終生免疫を獲得する。A型肝炎にかかると、1-4週の間にIgMHA抗体と呼ばれるHAVに対する抗体が血液中に増加してくるので、この抗体を測定することでA型肝炎の早期診断が可能である。以前にA型肝炎にかかったか、知らないうちにA型肝炎ウイルスに対する抗体が出来ているかを見るのはIgGHA抗体を調べるとわかる。

AB型肝炎ウイルス(HBV)の検査

B型肝炎ウイルス(デーン粒子)は直径42nmの球型、二重構造のDNAウイルスで、リンゴなら皮にあたる部分(HBs抗原)と芯(HBc抗原)とに分かれている。芯にはHBc抗原のほかにHBe抗原とDNAポリメラーゼやHBV-DNAが存在している

   

  

デ−ン粒子以外にもHBs抗原陽性の血液中には、小型粒子、管状粒子といわれるデ−ン粒子の表面と同じ成分、すなわちHBs抗原を表面に有する粒子があるが、これらはいわば‘抜け殻’であり、HBs抗原を有するものの感染力はない。そこで血液中でHBs抗原が陽性を示した場合には、2つの意味があり、1つはB型肝炎ウイルスそのものが多い場合で、このような血液ではHBe抗原、DNAポリメラーゼ、HBV-DNAがいずれも陽性を示し、感染力もきわめて強い状態で、肝炎も活動性であることが多い(野生株)。もう1つはHBs抗原が陽性でも、ウイルスの抜け殻だけが血液中に存在する場合で、このような血液ではHBe抗体が陽性で、DNAポリメラーゼ、HBV-DNAも陰性であり、感染力はあっても極めて弱い状態である。HBe抗原からHBe抗体へのセロコンバージョンは、従来は宿主の免疫反応の変化でHBVが排除されることにより起こると考えられていたが、実はHBVの消失ではなく、単にHBe抗原を産生する野生株がHBe抗原非産生の変異株に置き換わる現象であり、一般的にはHBVの増殖もおさまり肝炎は沈静化する。しかし近年、HBe抗体が陽性で、DNAポリメラーゼ、HBV-DNAが陽性で、感染力も強い変異株が漸増しており、HBe抗体陽性であっても、DNAポリメラーゼ、HBV-DNAが陽性か陰性かを検査することが重要である。


BC型肝炎ウイルス(HCV)の検査

C型急性肝炎の急性期には本抗体は出現せず、発病後36ヶ月後に陽転化し  て初めて診断可能であり、急性期診断としては、血清中のHCV-RNAを検出することが重要である。C型慢性肝炎においては、インターフェロン治療の反応性に強く関与するHCV-RNA量とHCVのサブタイプ(遺伝子型、血清型:グルーピング)がきわめて重要な検査である。HCV-RNA量の測定には、アンプリコア定性法と定量法(オリジナル法)があったが、最近さらに幅広い定量性を示すハイレインジ法が開発されており、臨床応用されている。最もHCV-RNAを感度よく検出できるのは、アンプリコア定性法、次いでオリジナル法、幅広く定量可能なものがハイレインジ法である。またHCVのサブタイプには遺伝子型(genotype)と血清型(serotype、グルーピング)があります。わが国に多いのはgenotype 1b型(グループ1)で6570%を占める。genotype1a型は本邦ではほとんど認められず、日本においてserotype1genotype1b型を表している。genotype2a(グループ2) 2025%genotype2b(グループ2)10%前後を占め、いずれもserotype2に分類される。後述するがserotype2serotype1と比べてインターフェロン治療に奏効しやすいことから、HCVグルーピングの検査は治療効果の予測にも有用である。

CE型肝炎ウイルス(HEV)の検査

IgMHEV抗体、IgGHEV抗体検査が自費で外注検査会社で測定できる。E型急性肝炎の診断には、PCR法によるHEV-RNAの検出が最も信頼できる検査であるが、現在までに保険適用されていない。


D自己抗体検査

抗核抗体(ANA)、抗平滑筋抗体(ASMA)は自己免疫性肝炎の血清学的診断法として有用である。また抗ミトコンドリア抗体(AMA)、あるいはミトコンドリアM2 抗体は、原発性胆汁性肝硬変の診断に欠くことのできない検査である。

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