下肢静脈瘤

(1)原因と症状

足の静脈には、血流を心臓に戻す役割があります。静脈の中にはハの字型の弁があり、立っている時に血液が足先の方に逆流するのを防いでいます。下肢静脈瘤は、この弁がきちんと閉まらなくなり、静脈に血液がたまってこぶのように膨れてしまう病気です(図1)。弁が壊れる原因には、遺伝、妊娠・出産、長時間の立ち仕事などがあります。主な症状は長時間立っていた後や昼から夕方にかけて起こる、ふくろはぎのだるさや痛み、足のむくみです。就寝中にこむら返りを起こすことがあります。足の湿疹や色素沈着など皮膚炎を起こすことがあり、重症になると皮膚に潰瘍ができたり、出血することがあります。

(2)治療とその必要性

良性疾患なのでだるさ、痛みなどの症状や皮膚炎がなく、見た目が気にならなければ治療の必要はありません。ただし40歳未満で立ち仕事の方は、いま症状がなくてもやがて進行して治療が必要となる可能性が高くなります。治療法には『弾性ストッキングを用いた圧迫療法』『注射で静脈を固める硬化療法』『手術』の3つの方法があり、手術は血管内治療(レーザー治療、高周波治療、グルー治療)があり、体への負担は比較的少なく、日帰りで治療可能です。

(3)セルフケアと予防

足のむくみやだるさが気になるといった軽度の下肢静脈瘤の場合は、セルフケアで対処できます。長時間同じ姿勢で立ったままや座ったままでいることを避け、1時間に1回は歩くなどして足を動かして下さい。散歩やジョギングでふくろはぎの筋肉を鍛え、適度な運動(図2)で血流を改善しましょう。

 

2023年02月17日